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「丁寧に打てば大丈夫」
僕が初めて囲碁の県大会（本因坊戦）に出場する時に、囲碁教室の先生がかけてくれた言葉です。


当時の僕は、囲碁歴約二年半。碁会所の弱い五段くらいでした。
碁会所に来ているお客さんの強い人には、四子とか五子置かせてもらっていたので、本当に弱かったんです。

そんな僕が県大会なんて…明らかに手合い違いで場違いです(>_<)


それなのに何故出場することになったかと言いますと…
高原先生と一緒に囲碁サロンソレイユを始める事に決まったからです！

囲碁サロンを始めるなら、顔を売っておきなさいと教室の先生に言われまして(-_-;)
「別に誰も勝つとは思っとらん(笑)」
イヤミもついでに頂きました。

それから大会本番までは集中して勉強しました。これまでの人生で一番勉強したかも知れません(笑)
家族にはその三分の一でも学校の勉強をしてれば…とか言われながら頑張りましたf(^_^;

そして大会当日…不安と緊張で一杯の僕に先生がかけてくれた言葉
「丁寧に打てば大丈夫」「失敗しても、投げやりになったり、乱暴な手を打たずに、最後まで丁寧に打てば大丈夫」
そう言ってくれました。

普段は冗談やイヤミばかり言ってる先生がその日は違っていました。
しかも先生がその大会に出るのは数年振りだったそうで…僕を心配して一緒に出てくれたのです。


その日の対局では、とにかく丁寧に打つように注意しました。
呉清源先生の仰る調和…それも同じような意味なのかなぁ？とか、そんな事を考えていました。

相手を打ち負かそうとか、悪手を咎めるとかではなく…バランスをとって、二人で一つの作品を創る。そういう考えで一日打ってみようと。

負けて元々なので、気楽なものです(笑)

そして県大会の結果は…まさかのベスト４でした！
その中には、長崎美人さんに奇跡的に半目勝ちした碁も含まれています。


囲碁教室の深堀先生にとっては、何気ない言葉だったかも知れませんが、僕には最高のお守りになったんですね(^_^)

でもここ数年は先生の言葉を忘れてしまっていました。
大会で良い結果が出せずに気持ちばかり焦ってしまって、勝ちに固執したり、乱暴な手を打ってしまいました(^^;


今僕は長崎新聞の五人抜き戦を打っているんですが（新聞に載って宣伝になるのです！）対局前…不安でしょうがない時に思い出したのが
「丁寧に打てば大丈夫」
という先生の言葉でした。不思議と気持ちが落ち着いて、少し心が軽くなったような気がしました(^^)


言葉というのは不思議ですね。
贈る側にとっては何気ない一言が、受け取る側にとってはお守りにもなるんです。

僕も囲碁サロンを経営し始めて、囲碁の先生でもあります。
僕も生徒さんにとって、「お守り」代わりになる言葉をかけられる…何気ない言葉で、気持ちを楽にしてあげられる…そんな存在になれたらいいなと思います(^ー^)