昨日の本因坊戦、NHK衛星放送の高尾10段の解説を見聞きしながら、ここ数日読んでいた
「どうして羽生さんだけが、そんなに強いんですか?」
―現代将棋と進化の物語 梅田望夫
と言う本の内容を通じ、囲碁と将棋について考えてみました。
2006年に世界コンピュータ将棋選手権大会に初出場、初優勝という快挙を成し遂げ、革命を起こした将棋ソフトです。2009年にはソースコードを公開しました。
「ボナンザメソッド」と呼ばれる思考ルーチンは数多くの将棋ソフトに影響を与えました。現在では大会で入賞したほとんどのソフトがボナンザメソッドを導入しています。またBonanzaライブラリを利用した「ボナンザチルドレン」と呼ばれる将棋ソフトが数多く生まれ、大会でも好成績を残しています。
2013年の世界コンピュータ将棋選手権大会で再び優勝しました。
まだ、超一流プロとの対戦は実現していませんが、将棋のプロとの対抗戦にもコンピューター将棋が勝ち越せるようになってきました。
羽生先生は2008年の時点で、コンピューターが将棋のプロを破るのは2015年と予想していましたが、随分早まってきたようです。
囲碁の場合は、今年でも9路盤対決で勝ち越しています。
囲碁と将棋で、定石(定跡)の持つ意味が大きく違うような気がします。
将棋においては、戦型ごとに中盤まで定跡手順ができあがっている物が多くあり、先手有利が確立された戦型が、いくつも有るようです。
囲碁において定石と言えば、部分戦の最善手順を意味し、盤面全体の他の部分の形により、その部分定石大系の中から善悪を判断してどの定石手順を採用するか考える力が、棋力とされています。
将棋の定跡手順とは、囲碁に当てはめてみれば、布石パターンが戦型としていくつも解明され、少なくとも中盤戦入口まで善悪が解明された戦型がいくつも存在すると言うことを意味しそうです。
確かに囲碁においても、秀策流に始まり、3連星・中国流・小林流などいくつもの布石パターンが考案されていますが、中盤の入口まで定跡手順で進む等と言うことは考えらません。
囲碁の布石・戦術研究の方が将棋肉rべて遅れているために、コンピューター囲碁の実力が伸びないのでしょうか?
将棋は、一手差のゲームが多いため、差が付いたようでも緩んだ手を打つと逆転しやすく、変化の手数が減って来る終盤力に、特に優れたコンピューター将棋に苦杯をなめることが増えてきているようです。
安全に勝つことを目指すと、実戦で一番力が付く終盤力を磨くことが難しくなるため、井山さんは囲碁の本質追究を目指し、最後まで緩まぬ手を打つように心がけているのでしょうか?
羽生さんの書籍・対談集や、羽生さんの様々なコメントが、含まれた羽生本は、さまざまな事物に取り組む羽生さんの真摯な姿勢を垣間見させてくれてとても面白い。
囲碁会でも、このような本が出てくることを願いたい。