利根川の杭さんの日記

(Web全体に公開)

2011年
10月07日
01:11

二人の巨匠の筋

タグ : 感動場面
先日図書館から高木詳一九段著「囲碁百名局」を借りてきました。
私は今まで道策より前の碁は知らなかったのですがその本で算砂、道碩、算知を知り、道策だけでなくそういう先達がいたから碁のレベルが上がったんだと思いました。

下図は中村道碩が安井算哲と打った碁の一場面。
このとき道碩が放った◇がすばらしい。

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上の碁が打たれてから192年後の丈和 vs 安節 戦の一場面。
このとき丈和は◇に打った。この手の20数手前の☆も同じような筋です。
この碁は私の好きな碁で道碩を知るまでは◇や☆の筋は丈和ならではだろうと思っていました。
おそらく、丈和はこの手を打つとき道碩の碁を頭に描いていたに違いない。

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ぃーね! (1) 冷歌 

コメント

2011年
10月07日
06:56

1: -

寛永6年のお城碁、白6目勝ちとなった局ですね。
実は、つい最近(10日くらい前)、筑摩の大系で並べたばかりでした。

78妙手で、道碩の碁は「これを並べて愉快禁ぜず」(林元美)のとおりですね。

丈和が道碩の碁を暗譜していたことは、元美が書いています。
杭さんのおっしゃるとおり、だと私も確信しています。

古碁を愛する方とネット上でこうして語り合えて、「愉快禁ぜず」です。

2011年
10月07日
07:08

2局目の碁は、何度も並べたことがあります。
「剛腕丈和」高木祥一九段著
「石田芳夫囲碁講座 第1巻 名局と戦略」
この2冊に詳しい解説が載ってます。1冊目は、小林光一九段と二人の対談で解説してるんですよ。

石田先生、高木先生(丈和の本は、百名局より先だと思う)、そして光一先生は、道碩の碁は…、まあご存じですかね。

2011年
10月07日
18:09

3: 宗久

棋譜を残すことは後年の者にとっては大きなことですね。
いい話を聞かせていただきました。

2011年
10月08日
17:50

< ソロモン王さん
そうおっしゃっていただいて私も「愉快禁ぜず」です。

< きゃれらさん
私は2局目の碁を筑摩の体系「幻庵因碩」で並べたんです。
「剛腕丈和」は棋道に連載されたものを単行本にしたものでしたので私は買いませんでした。ところがその棋道は全部捨ててしまったんです。今はとても後悔しています。

< 宗久さん
宗久さんに譲っていただいた「丈和」には2局目の碁はなぜか掲載されていませんが、とても興味深く読んだり並べたりしています。

2014年
03月20日
04:56

5: 冷歌

こういうシーンを発見すると嬉しくなってしまいますね
妙手と言われた手には、以前に同じような筋が打たれていることが多いように思います 昔の棋士というのは、先賢の棋譜をしっかりと勉強していたのがよく表れているように思います

2014年
03月20日
16:33

<こういうシーンを発見すると嬉しくなってしまいますね

はい、たいへん嬉しかったです。
それよりも、2年半前に書いた日記を読んでくれる人がいることに大感激です(*^-^*)

棋譜作成
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