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棋書
またしても「碁きちにささげる本」からのネタですが、今回は本そのものの内容ではありません。
この本は、もともと15名のプロが強くなるための手ほどきをする本で、田村竜騎兵さんはあくまで編者です。
その、プロ棋士第一弾、石田芳夫先生の手ほどきの第一声が、「強くなるにはまず定石を勉強することです。」なのですが、興味深いのは、「定石を勉強すること」という部分に赤鉛筆で囲いがしてあることです。
この本、妻の実家からゲットしてきたので、古書です。妻の実家に来た時点で既に古書だった可能性もあるので、これを囲ったのが誰なのかはもちろん分かりません。
それにしても、「まず定石を学べ」という人は珍しいし、それに感銘を受けて赤で囲う人はもっと珍しいような気がします。
この本の他のページもざっと眺めてみましたが、赤で囲ってあるのはここだけです。どれだけ重要だと思ったんだ、とびっくりします。(もっとも、最初のページだけ赤をつけて、以降は飽きてやめちゃったのかもしれません。真相は闇の中です。)
言い分としては、基本的に相手は全部定石で打ってくるんだから定石を知らなかったら四隅が全て不利なわかれになってしまう、そうなったら負けだ、という事なんですが……
まあ、その論理自体はあってそうですが、そもそも前提になっている相手が全部定石を打ってくるというところからして怪しい気が?
定石というのは、形を憶えていたからと言って定石外れをとがめられるとは限りません。形だけ定石を憶えている人の相手が定石通りに打ってこなかったとして、果たしてうまく自分有利なわかれに持ち込めるかどうかは不明です。
逆に自分不利になってしまうことだってありますでしょう。
定石を正しく理解するには、それなりの手筋力・読みの力を必要とするのは言うを待ちません。(なぜなら、それがなければ定石の変化形の意味が分からず、意味が分からなければ憶えるのも困難だからです)
なので、「まず」勉強すべきは石の形とか基本的な考え方(コリ形はよくないとか、ポン抜きは厚いとかまあ色々)であって、定石ではないと思うのですが……
少なくとも、読みの力はある程度つけておくべきです。読めないんじゃ定石もへったくれもないと自分は思います。
まあしかし、それすらも定石を勉強するついでに身につければいい、ということも言えそうですね。定石は確かに手筋のカタマリだから、ちゃんと勉強すれば手筋も読みの力もすごく強くなりそうです。
ともあれ、「まず定石!」という主張は珍しいな~と思ったのでした。さすが、基本定石事典を出した人は違うなあと思った次第です。そして、ここに赤をした人は果たして定石を勉強したのか?そこも気になりますね~ ^^
コメント
09月26日
11:15
1: きゃれら
定石を勉強すること、と、
定石を覚えること、は、全然違う。
と考えておくのが大切かもしれません。
本因坊秀芳のNHK囲碁講座にも
「やさしく考える定石」(本にもなってる)というのがありました。
「考える」ことが必要なんだろうと思います。
石の形、基本的な考え方の具体的な表現の一つが、隅の応接の典型的なサンプルである「定石」なわけで、逆に定石を「勉強」すれば、それが身に付くわけです。
そのうえ、隅のやりとりで意味なく損しなくなるなら、こんないい勉強法はないってことでしょう。
覚えてるだけの知識が役に立たないのは、何でも一緒ですね。
09月26日
11:36
2: どくとる
きゃれらさん
おお、確かに定石を「勉強」しろと言っていますね。
自分でも書きましたが、手筋にしろ石の形にしろ、定石を勉強する中で身につけることができると趣旨なんですね。納得です。
09月26日
23:57
3: みかりん
私も碁を始めてすぐの頃にこの1巻と2巻を買いました。なるほどと思ったことがいっぱいあったはずなのに、今ではあまり記憶に無いという…。
当時は定石の勉強もしてたんだけどなぁ…(星の一般的な定石だけですが)。
初心に帰るタイミングですねf^_^;
09月27日
00:27
4: どくとる
みかりんさん
なるほど、今あらためて定石の勉強をするのはよさそうですね ^^