鈴鹿本因坊さんの日記

(Web全体に公開)

2012年
10月19日
23:44

真に”地にカライ” とは?


”地にカライ”:人によってニュアンスが違いますが、本当はどうなんでしょうか。 坂田先生のお言葉をどうぞ。
(坂田)『アマの人には”地にカライ”というとドンドン地を取ると思う方もおりますが、それは”むさぼり”といってむしろ忌むべき行為なんです。 真に地にカライとはギリギリのせめぎ合いの中で1目2目を掠め(かすめ)獲るような手の事をいいます。』
ではその「掠め獲る」実戦例をどうぞ。

(;GM[1]FF[1]SZ[19]NE[B]SS[@93]AP[StoneLeaf2];B[qd];W[dc];B[pq];W[cq];B[oc];W[qo];B[pl];W[pn];B[qp];W[rp];B[rq];W[pp];B[qq];W[op];B[nq];W[ce];B[nl];W[mo];B[mq];W[qj];B[qm];W[qg];B[ic];W[lp];B[of];W[pe];B[oe];W[pd];B[pc];W[od];B[nd];W[pf];B[pg];W[og];B[ph];W[qf];B[qh];W[qc];B[qb];W[rc];B[nc];W[rh];B[ri];W[rg];B[qi];W[oi];B[oh];W[ng];B[mf];W[nh];B[rj];W[rb];B[nn];W[no];B[on];W[jd];B[id];W[lh];B[kf];W[je];B[jg];W[ie];B[kb];W[ji];B[hg];W[ge];B[ko];W[jq];B[ip];W[hr];B[hq];W[jp];B[jo];W[mr];B[lq];W[oq];B[nr];W[or];B[oo];W[ro];B[kp];W[po];B[gr];W[om];B[nm];W[mj];B[nj];W[ni];B[pr];W[os];B[sr];W[rs];B[ps])
白74がシノギの妙手。死にそうだった白が右下の黒を取り、黒は下辺を取る振り替わりに。 右下の攻め合いは白勝ちですが1手差。攻め合いに行く前に。。。。     <経過図1>
(;GM[1]FF[1]SZ[19]NE[W]SS[@6]AP[StoneLeaf2]AB[ps][sr][pr][gr][oo][nr][nm][nj][kp][lq][jo][hq][ip][ko][hg][on][nn][kb][jg][kf][id][rj][ri][mf][oh][qi][qh][ph][nc][qb][pg][nd][pc][oe][of][qm][mq][nl][ic][nq][qq][rq][qp][pl][oc][pq][qd]AW[rs][os][ni][po][mj][om][or][oq][ro][jp][mr][hr][jq][lp][no][ji][ge][ie][lh][je][jd][nh][rg][rh][rb][oi][ng][rc][qc][qf][og][pf][od][pd][pe][mo][qg][qj][op][pp][rp][pn][qo][ce][dc][cq];W[rl];B[rm];W[np];B[mn];W[ns];B[lr])
白1はなるほどギリギリの利かし。そして白3,5と攻め合いに入る前に全部連れ戻します。 ここまで煮詰まると攻め合うしかないわけですが。ここで”1目を掠め獲る”手が出ます。     <経過図2>
(;GM[1]FF[1]SZ[19]NE[W]SS[@4]AP[StoneLeaf2]AB[lr][mn][rm][ps][sr][pr][gr][oo][nr][nm][nj][kp][lq][jo][hq][ip][ko][hg][on][nn][kb][jg][kf][id][rj][ri][mf][oh][qi][qh][ph][nc][qb][pg][nd][pc][oe][of][qm][mq][nl][ic][nq][qq][rq][qp][pl][oc][pq][qd]AW[ns][np][rl][rs][os][ni][po][mj][om][or][oq][ro][jp][mr][hr][jq][lp][no][ji][ge][ie][lh][je][jd][nh][rg][rh][rb][oi][ng][rc][qc][qf][og][pf][od][pd][pe][mo][qg][qj][op][pp][rp][pn][qo][ce][dc][cq];W[sq];B[sp];W[so];B[sq])

白1から3が『何だこれは!』という手でした。これを打っても別に黒の手が縮まった訳ではない。 ただ驚く事に打ち上げになった時、白地14目(双方のハマ含む) 白1,3を打たないと白地13目。つまり”1目得”なんです。
この碁は激戦の末最後白1目勝ちとなりました。 ”カライ”そして凄すぎる1目でした。

1960 年 最高位戦① 黒 藤沢 秀行(最高位)   白 坂田 本因坊
ぃーね! (3) まっちょん  ゆかりか  シャントット☆すぴマど 

コメント

2012年
10月20日
00:47

白74のツケばかり印象に残っていますが、細部も凄みがありますね。

2012年
10月20日
00:54

>>並みのアマさん
そうなんですよ。 よく『耳赤の1手』、『ダメの妙手』などその手だけがクローズアップされますが、碁自体が凄い。そして他にもたくさんの宝石がある感じです。

2012年
10月20日
16:50

3: .

僕レベルの碁だとあんまり地に辛い人はいないかも。
カス石を逃げ回るような相手に勝ったり負けたりなのでw
やきもち焼いてくる人は地に辛いとは言わないですねw
それはそれで他のところと中央に地が出来るから地に甘い。
ただ、タイゼム中国室は地に辛いな感じる人もたまにいます。

2012年
10月21日
10:39

>>イルカさん
本当に地にカライ人が本当に強い人なんでしょうね。
ただあんまり細かい事を気にしていると大局に遅れるし、その辺が碁の難しさであり面白さだと思います・

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