今年も棋聖戦が終わった。 今回は井山6冠誕生という1つの時代の変わり目だったと思います。
私には棋聖戦というと忘れられない想い出があります。 第7期ですから25年も前の話です。
当時棋聖は秀行先生が1期目から6連覇。無類の強さでした。 7期目 ついにというか挑戦者に趙治勲名人本因坊十段を迎え、囲碁ファン待望の頂上決戦が実現しました。
秀行3連勝のあと趙が3連勝というスリリングな展開で最終局を迎えました。 この”歴史的一戦”を私は確か会社を休んで観に行ったと思います。
棋院の2階大広間は立ち見の出る大盛況。 解説は理事長でもあった坂田栄男先生です。
当時まだネット通信は一般的でなく、現地から次々に送られて来る棋譜を見ながら坂田先生が解説していきます。
細碁の大熱戦となり、みんな大盤にくぎ付けとなる終盤戦。 ここで”ドラマ”が起きました。
送られて来た棋譜を見て、坂田先生が突然絶句してしまったのです。 その後も数分 言葉が出ない。 会場がどよめいてきた時、坂田先生がハンカチを取り出し、メガネをとって涙を拭いたのでした。
この瞬間、ほぼ全員が趙の勝利、藤沢の敗退を悟ったとおもいます。
坂田先生はなおもハンカチで顔を押えたまま。 どこからか拍手が起こり、それが会場全体に伝わり、何かコンサートの最後のように会場全部が拍手に包まれた。
感動しましたね。
コメント
03月17日
10:03
1: ゆかりか
時代が動いた瞬間なのですね。
すごく感動的な場所にいれて会社休んだかいがありましたね(*^^)v
碁って本当にいろんなドラマがあるんですねぇ。
03月17日
13:46
2: pin7xp
大判解説の会場も盛り上がっていたのですね
カミソリ坂田伝説 すごい
父が囲碁が好きで私が若かりしころ藤沢秀行の話をいろいろ聞かせてくれました
思い出します
現在 坂田先生の囲碁を並べるようになったのでこの鈴鹿さんの日記はシンクロニシティかな~
03月17日
15:04
3: -
いい話しを聞かせていただきました。
私も、泣きそうです。
03月17日
18:12
4: 鈴鹿本因坊
>>ゆかさん
会社を休んだ甲斐がありました^^。
”歴史は繰り返す” 数年前の趙ー山下の棋聖戦最終局。 幽玄の間の観戦者が5,000人を越えたという”伝説の一戦”。 これも若い山下さんの勝利でした。 泣いた人も多かったと思います。
03月17日
18:26
5: 鈴鹿本因坊
>>pin7xp さん
”大判” ではなく 〝大盤”です^^。
坂田ー秀行は全盛時代、両雄並びたたないというか ソリが合わなかったようです。
ただこの時代は同世代として、まだまだ頑張ろうとお互い励みにしていたのでしょうね。 しかし勝負は厳しいですね。
>>たかさん
感動して帰って、ニュースを観るとこの碁の事をやってました。
終局直後、『やっ、おめでとう!』と言った秀行先生。 趙さんは盤則で『ありがとう ごさいました』と深々と頭を下げた所をやっていた。
「全てを奪っていった相手に『おめでとう』と言えるのか! 自分もこういう人間になりたい!」と思ったものです。
全々出来てないですが^^;;。
03月17日
19:01
6: -
思いだしました。
このシリーズ何局目かに、
趙さんの大石を取りに行けば(取れて)勝ちだったのに、
取らなくても勝ちとゆるんで、負けた碁が有りました。
それが棋聖失冠の遠因となりました。
03月18日
01:10
7: .
いい話をありがとうございます。
何てコメントしていいかわからなくて、
坂田先生のエピソードは意外でした。
同年代のライバルで複雑な心境の中
心の大部分は応援してたんですね。