産経新聞ですが、私もホテル住まいが多いので、気をつけなければならないと思いました。
まあ、10万円以上持ち歩くときはフロントに預けますが、少額の時は他の人と一緒で、注意が足りない自覚があります。
中国人窃盗団が高級ホテル舞台に演じた“密室トリック”の背景
2011.5.10 14:43 (1/3ページ)
オートロック式のホテルの寝室で起床すると、枕元にあったはずの財布が姿を消していた-。ミステリー小説の“密室トリック”を想起させる事件が昨年末から今年2月にかけ、東京都内各地の高級ホテルなどで約20件相次いだ。住居侵入と窃盗の罪で起訴されたのは、同郷で「ポーカー仲間」だったという中国人の男性被告4人。捜査段階で「泥棒をしに日本に来た」とも供述したという彼らは、どうやって鉄壁のセキュリティーを崩したのか。(時吉達也)
東京地裁で9日に初公判が開かれたのは、いずれも中国籍で住居不定、無職の26~42歳の4被告。このうち2人は「観光に来ただけ。ぬれぎぬを着せられた」などと起訴内容を否認。別の1人は認否を留保した。このため、全面的に認めている41歳の被告のみ、公判が分離して進められている。
起訴状と検察側の冒頭陳述によると、4人は1月下旬、15日間の短期ビザで成田空港から入国した。同30日未明には、宿泊していた東京都八王子市のホテルで、別の客室に侵入。親族の結婚式のために上京していた男性とその長女が就寝中に、祝儀袋や財布に入った現金25万3千円を盗んだとされる。
被告らは、オートロックのドアが、室内からであればドアノブやレバーを動かすだけで開くことに着目。針金などをドアの下の隙間から差し込み、レバーなどに引っかける手口で解錠、入室し、大胆にも寝息を立てる宿泊客を尻目に、犯行に及んでいたとみられる。
同時期に新宿、浅草、両国などのホテルでも被害が確認されており、4人のうち1人は逮捕時に現金約300万円を所持していたという。
「仲間内でポーカーをしていた際、(4被告とは別の)1人に『日本に行って泥棒に成功した人がいる。自分たちも金もうけしに行こう』と持ちかけられた」
「自分は見張り役で、犯行中に誰かが近づいたら実行役にせき払いで知らせることになっていた」
41歳の被告の初公判で検察側が証拠提出した捜査段階の供述調書では、犯行に及ぶまでの経緯が生々しく語られていた。だが、その後に行われた被告人質問では一転し、被告はあいまいな返答に終始した。
裁判官「日本に来て、どこでどのように犯行に及ぶ計画だったんですか」
被告「適当に。計画していませんでした」
裁判官「(針金などの)道具を使う話は入国前から聞いていましたか」
被告「よく分かりません」
裁判官「道具をどう使うか、説明を受けましたか」
被告「いいえ」
力ない返答に、裁判官はややいらだった様子で質問を続けた。
裁判官「現金はあなたが管理していましたね」
被告「はい」
裁判官「管理役ということは、仲間から信頼されていたということになりますが、なぜでしょう」
被告「わかりません」
裁判官「犯行場所は誰が決めましたか」
被告「特に誰、というのではなく、適当に歩いて決めました」
裁判官「ホテルは各地に散らばっていますよね。適当に歩いたというのは、どうかと思いますが」
被告「電車に乗っていたので…」
裁判官はため息をつき、こう質問を締めくくった。
裁判官「あなたの話を聞いていると、泥棒することだけが決まっていて、ほかはすべて行き当たりばったり、という印象です。本当にそうなんですか」
被告「はい」
検察側はこの日の論告で、「日本のシティホテルの信用を失墜させる悪質な犯行」として、41歳の被告に懲役2年6月を求刑。「組織的な窃盗団の関与がうかがわれる」とも指摘したが、法廷では残念ながら、その背景が明示されることはなかった。一方、被告は最後に意見を求められても、「特にありません」とそっけないままだった。
この被告の公判は即日結審し、6月16日に判決が言い渡される予定。また、否認・留保している他の3被告については、同15日に次回公判が開かれる。
日本のホテルの“安全神話”を覆した犯罪。今後の法廷でその全容が解明されることを期待したい。