長崎美人さんの日記

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2011年
08月16日
09:21

第39回大倉喜七郎賞受賞記念対局(第3譜)

タグ : 大倉喜七郎賞受賞記念対局譜
先 黒 六段 本田忠
   白 七段 田浦直             

三譜(46~81)
一目置く

 黒53は63がシノギの要点。白54と急所に迫られると命が危ない。
白62では65または63と打てば黒は困っていた。二分すれば黒が苦しくどう転んでも白に悪くなる図はない。黒63と出られると、白が持て余している格好。アマレベルでは、難しい定石や高度な布石理論は必要なく、中盤の競り合い、ヨミが一番大切だ。

 黒77とダメをつめた手は好手だが、勢い余ったか、黒81が大変な打ちすぎで、黒は一気に苦境に陥る。黒81では平易にK9と頭を出しておけば、黒は厚くて地も多く優勢を保持できた。
 
 対局前、手合い割りをどうするかという話になった。本田さんは「田浦さんは自分より強い。普段も定先で打っている」と言って譲らない。つまり、田浦さんに一目置いているのだ。それに本田さんは勝負師で根っからの負けず嫌いである。受賞記念対局だからといって勝ちを譲ろうというヤワな考えはない。本局もガチンコ勝負である。

 紹介が遅れたが、本田さんは全国に名を馳せた伝説の相場師である。ある著名な業界筋から聞いたことがある。「自称日本一はたくさんいるが、本田さんは誰もが認める日本一の相場師だ」と。

 昭和六十三年、生糸相場で勝利し長者番付全国実質第一位になった時、経済誌「財界展望」に本田さんの特集記事が組まれた。「本田さんにとって相場とは何か」という記者の質問に、「まあ、人生そのものだ。相場も勝負事も人生にそっくりだ。いや、人生より厳しいかもしれん。人生には楽しみも多いが、相場で楽しめることなんかほとんどない。何億円も損をして、これで切ろうと思いながら切れないときは本当に血の小便が出ますよ」
「でも止められない?」「そりゃもう無理だ。相場はアヘンのようなものです。勝った時はすごく嬉しい。その喜びのためにやっているんです」と相場への思いを語っている。(長崎美人)

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※ 本観戦記は昨年、長崎新聞に掲載されたものです.
ぃーね!
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