鈴鹿本因坊さんの日記

(Web全体に公開)

2011年
12月29日
23:21

ナダレ定石


小目に1間高カカリして下にツケられた時、外から押える(ツケ押え)ではなく、そのまま小目の方へぶつかっていく形をナダレ型という。
先日古本で藤沢秀行著の同名の本を購入したらこれが面白く、この型の起源から載っていた。
昭和初期棋道誌で長谷川章先生がアマからこの型の質問を受けた。『自分から頭をぶつけ、さらに2目の頭をハネられる(小ナダレ)は論外!と即断したが、このアマの方がいくつか変化を出しておりそれを調べていくうち、なかなか面白い変化がある事が分かってきた』 というのだ。
そして対木谷戦で、「ツケ押えよりナダレが適切」という局面が出来てこの型を採用した。これがプロ実戦でのナダレ型デビューとなった。
その後、対戦相手であった木谷実が弟子(いわゆる木谷一門)の研究対象とし、また親交のあった呉清源・藤沢秀行らによってこの型が大きく進化し、現在でも改良途中にある大型定石となる。
このくだりは面白いし、単なる定石本でなくどのような考えでその型になったかを知る事は大変勉強になる。 大正15年生まれで昭和の年数がそのまま年齢となる秀行先生は、ナダレ定石とともに進化してきた。という思いもあるのかもしれない。
しかし、
やはり難しい。まず手順が難解だ。なにしろ大ナダレ内曲がりの創始者である呉先生がその手順を間違えてしまったほどなのだ。
次にその意図が明確でない。相手の手によって実利と厚みが逆転したりする。出来上がり図を見ても、『いったい何がしたいのか』分からない。
『盤の1/4を占める”定石怪獣”』と言ったのは高川先生だったか。実際には1/4どころか盤全体に闘いが及ぶ場合もある。
打ってる人も『仕方ない、仕方ない』でやってるような気がする。
一般アマが使えるしろものではないらしい。
ぃーね! (3) ゆかりか  やじるし  まっちょん 

コメント

2011年
12月30日
11:28

そんなに『怪獣』な定石だったのですか。
終局まで解明でき・・・・ませんよね^^;

結論・暗記なんかより、型に至る経緯に、
人間の上達に大切なものが・・・いいですよねっ!ぴかぴか(新しい)

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