株式会社において、株主が変わるということは政権交代を意味する。
名実ともに100%外資の資本になり、先月末の株主総会で、旧オーナー筋の人は会社を去ることになった。私も子会社の役員の職は解かれたが、奇跡的に残ることができた。
私が上京した際、親身になってお世話してくれた方も残れなかった。
四面楚歌の中、この人だけが唯一心を許せる人だった。
それだけに複雑な思いがする。
上京したのは生活のためではない。別の目的がある。
だから生き延びるため、サプライズを演出し自分の存在感をアピールしてきた。外務員育成の講師を任されていたので、8月までは大丈夫と思っていたが、そのあとが読めなかった。
想定外の展開で、1年間の契約社員として7月から親会社の新設の証券部に出向になった。
事務管理部門の責任者として、証券部門の立ち上げと営業社員教育を任された。事務スタッフを数名つけるという話だったが誰もいない。
サプライズが過大評価されてラインに起用されたようだが、国に提出する申請書類など膨大な事務量と期限までに確実にやらねばならない責任感で心が押しつぶされそうになる。
碁と同じで序盤はうまく打てたが、これからは不得意の中盤戦に突入する。全力で走ってきた疲れのせいか、体力も気力も衰えてきた。運を天に任せるしかない。
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