岡部倫太郎さんの日記

(Web全体に公開)

2015年
12月25日
17:54

勝つということの定義「クリスマス編」


覚えている人は覚えているかもしれませんが、
僕の棋風?はシノギ勝負に持ち込む事が多いです。

僕のアイドルだとか中・韓国人とかの場合は、
背景にある恵まれない経済事情等からくるハングリー精神から実利派となり、
その結果としてシノギ勝負になる、ということが多いのかもしれませんが、
僕の場合は違います。

別に、序盤からガシガシ稼いでそうなるわけではない。
普通に打って、普通に進むならそうするけど、
シノギ勝負の時の方が集中できるし落ち着くというだけのこと。

性格的に受けの方が好きだということもあるかもしれませんが、
もうすこし詳細について考えます。




これ、僕以外にアマで強い人程、シノギ派が多い理由だと思います。

攻める側の方は、闘いに関する生死以外にも、
どこで兵を引くか、どこまで追求するかも込みで、
色々と考えながら一手ずつ進める必要があるんですよね。
織田信長が本能寺の変で碁打っていたように、
中国の兵法に通ずるものがある。

で、受ける側がそんなことないかというと、
そうでもないし生死以外のことも考えてはいるんだけど、
闘いをどこまでやるか、という大局的な判断については、
基本的には攻める側である相手が決める事なんですね。

例え、どんな小さなことであれ、
決断するというのは責任が伴うし、エネルギーを使います。

「これ、人に話していいんだろうか?」
「この日記に軽い気持ちでコメントしていいんだろうか?」
みたいに。

で、それをせずに済む、
余計なエネルギーを使わず読みに集中することが出来る、
持ち時間が無い(早碁も)、置き碁の多子局、
形勢が良いとは言えない過酷な状況に於いて、
考えることが人よりもずっと多い強い人の勝負でこそ、
その違いは明暗を分かつ。

そういう意味合いで、
凌いでる方が精神的に、気分的に楽だという理由で、
受ける方を好む人は多いと思う。




ポイントとしては、
「責任が少ない」「余計なことをせずに済む」
というところにある。




で、野球漫画なんかがわかりやすいんですけど、
野球の花形である投手の主人公が、
「オレが点さえ取られなければ負けることは無い。
チームの皆はきっと点を取ってくれる!オレは皆を信じる!」
なんて語るシーンはよくある。

大変は大変だけど、
わかりやく余計なこと考えないで済むから楽といえば楽ともいえる。

しかし、「責任」は少ないとは言えないです。
負けたら戦犯呼ばわりされることも多い。


なんていうのかな、
世間で「ヒーロー」と呼ばれるタイプの人の価値観とかって、
それに近いと思うんですよね。「諦めなければ負けじゃない」的な。




で、これは何かに似てる。

例えば、付き合ってた恋人と別れてストーカー化するだとか、
嫉妬深くて暴力振るったりするDV野郎だとか、
こういう人も「諦めなければ負けじゃない」と「努力」してる人なんですね。

いや、言いたい事はわかります。
相手の幸せを考えられないなんて、それは愛してるとは言えないし、
そんな努力はやめたほうがいい、とかなんとか、皆、言うと思う。

恐らく、みっともなかろうと何だろうと、
懸命に努力する姿を素晴らしいと称えるのはこういう事例だとは思う。


「平安時代にある碁打ちがいましたとさ。
碁に全てを捧げた人生でしたが、
ここ一番の大勝負でイカサマされて負けてしまいました。
其の上、イカサマをされた自分の方が犯人扱いされるというおまけつきです。
失意の底で、その碁打ちは入水してこの世からおさらばしました。

ところが、何の因果か、
そこそこ碁の才能も有り、碁を愛する青年の元に、自縛霊として蘇りました。
神に感謝し、これは神の意思が碁を続けろといっているに違いない、
と励まされた気分になったSは、
その青年に申し訳ないとは思いながらも、彼の好意を受け取り、
彼の体を借りながら、碁打ちとしてのし上がっていきました。
生前とは異なり、彼が評価を受ける形で自分の努力も間接的に認められ、
彼が死ぬと共に自分もこの世を離れ、そのまま成仏しても構わないとさえ思えました。

ところがまだ成仏できず、この世に留まり、
今度は平成の世である少年の体にとりつきました。
名誉欲などはもう満たされましたから、今回は割と気楽に、
とりあえずいつまでも碁が打てるならそれでいい、
そう考えながら少年と過ごしていました。

しかし、何故か今回は神様は自分を成仏されるおつもりのようで、
この世に留まっていられる時間は長くないとわかりました。
いざ、その時が迫ってくると、
この世への未練や生への執着が沸いてくる自分に気付きました。
平安時代のゴミクズのこととかはもうどうでもいいとしても、
江戸時代に自分の人生をかけて尽くしてくれた青年のことを思うと、
平成の時代で再び生きることとなった生を無駄にするわけにはいきません。
この世界は素晴らしいものだと、命は尊いものだとわかっているからこそ余計に。

しばらくの間は葛藤し続けていましたが、ふとあることに気付いてからは、
このまま死ぬ事は生を無駄にすることではない、
世界や自分を否定することではないと思え、
ただただ感謝の心だけ残し、おさらばすることができましたとさ。」



「終わりよければ全て良し」では無いですけど、
僕はSさんが手放しで称えられるべきところは最後だけで、
他は別にそんなに評価する程の事ではないと思っています。

Sさん本人も考えているように、
必ずしもいいことばかりではなかったはずです。
江戸時代の彼にだって他の生き方だってできたかもしれないわけですから、
人一人の人生を自分の目的のために使うって、
DVストーカー野郎とどう違うんですか?
申し訳ないとおもっていようといまいと、やってることは大差無いですよ。
そんなことを褒められてたとしても、
Sさんが嬉しいはずがない、と僕は思います。

むしろ、余計に罪悪感を覚え、
何年も何年も何年も自分を責め続けることになりかねない。



不良が更生する話とかに対して、
過剰なまでに批判する人も多いことを考えると、
この感覚ってよくわからない、という人もいるかもしれませんが、
僕はそう考えています。






何の話をしていたんだっけ?
そう、勝ち負けに関する話でしたね。


僕は、「責任が少なく、やることが少なく楽」
に感じるシノギ派だとは言いました。

ただ、本当はまだ続きがあります。

僕はとにかく楽をしたいし、
責任を追及したりされたりするのを避けたいというのが強くあります。

「点を取られなければ負けじゃない」というのは確かですけど、
僕はそれに加えて、
「試合が途中終了するまでお互いが点を取れず引き分けでも構わない」
と考えてる点が異なります。


要は、「勝負をしない」というのが僕にとってはベストだったりする。
「負けなければ負けではない」ですから。

正々堂々と勝負するのも悪くないけど、
正々堂々と勝負にさせないのでも良いと思ってる。

そのためならば、盤外戦術だろうが何だろうが、手段は選びません。


「何を言ってるんだ?」と混乱する人もいるかもしれませんが、
要するに、風邪を引いて病院にいったりとかせずに、
風邪を引かないようにうがい、手洗い等するほうが良い、と言ってるだけです。

病院で「患者 対 先生」という勝負になれば、
先生が賞賛されることはあるかもしれませんが、
負けたら責任を追及されます。
とはいえ、素人が口をはさむことはできません。

それに対して、病院にいく羽目になる前なら、いくらでもやりようはあるし、
頭のいい、特殊な道具や技術を持ってる先生に頼らずとも、
誰にだってできることはるし、助けになることもできる。


野球だったら、ピッチャーマウンドに立ってしまえば、
もうあとは野となれ山となれで周囲は見守るしかありませんが、
野球場に着くまでに、信号を遅らせたり平和的な手段で妨害することなら、ド素人でも出来る。







人によって考えは異なるんでしょうけど、
「1000勝345敗」の選手よりも、
「1勝0敗(勝率100㌫)」の選手の方が
上か下かとともかくとしても、
「勝っている」と言えるんではなかろうか?
そういう考えが子どもの頃から僕の根底にはあるみたいです。

いや、今はもうそれすら無く、仮に0勝0敗であっても、
「負けなければ負けじゃない、というかそれでも勝つ方法はある」と思ってるので、
実は勝ちの定義なんてどうでもよく、
とにかく「楽」なのが一番だ、という面ばかりが表に出るようになっているんですが。



で、何で今日これを話したかと言うと、

「人を愛する」気持ちこそが大事だとは言うけれど、気持ちなんて無くとも
「人を愛する」行動は誰でも取れると僕は考えてるのですが、
キリスト教でも無ければ、キリストを愛してもいないのに、
今日という日だけは存分に楽しむ事が出来る、
お気楽フリーダム、自己中日本人の行動が僕は嫌いではないからです。

ただ、騒ぎたいだけで宗教的には意味が無い?
大いに結構!
楽しければそれだけでいい!
楽に慣れればそれだけオッケー!
そのためにやってるんだからね。何の矛盾も無い。

こういう面こそが日本人の真の美徳だと思うのですが、
何故か、違う面ばかり誇りに思ったり、
お気楽なのを悪い事のように言ったりする。
いいところはいい、悪いところは悪い、で済むはずなのに。
というわけで、僕らは、全部、承知の上で祝おうじゃないですか!




(○´ω`)ノ・‥…━━★☆★Merry Christmas★☆★━━|ω-。)>*









もうすこし、詳しく知りたい人は、
http://www.amazon.co.jp/dp/4788501244/ref=wl_it_dp_o_pC_n...
これ読むといいかも。

この人がどんな人なのか調べた上で読むと、
Sさんがどうしてああいう人間になったかもわかるかも。
僕は物理学知らないし、ガリレイとかわかんないので、
半分くらい読んでそっと閉じましたが。
ぃーね!
棋譜作成
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