”あしたのジョー”の中で、ジョーが両手をだらりと下げ隙だらけの構えを取る場面があります。 相手が怒って仕掛けて来た処を必殺のクロスカウンターが! 子供の頃夢中で見たアニメです。例えが古くてすみません。
下の碁、前回の日記から進んだ場面ですが、今上辺の黒が左右から挟撃されかなり弱くなっています。 黒の次の一手は?
<テーマ図>
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<変化図1>黒一間に飛びあがる。これが最も自然で常識的です。ただ白がのそきからケイマがよくある攻めの手筋。打たれた方は知っているでしょう。これが意外と厳しい。反対側を飛んでも同じ手筋が来ます。 まあ白の強い処なのでこのくらいは仕方ないですが、願わくば早く楽に(おさまり)なりたいです。ここまで黒は隅にばかり石が集中し、”根なし草”だと猛攻にあいそうです。 そこで一工夫したい所。
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<変化図2>これが実戦。黒ケイマに打ちました。発想の飛躍 素晴らしい。薄い所からさらに薄いケイマ どこからでも切断されます。まさに”ノーガード戦法”で、『やってこい!』と誘っているようです。
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<変化図3>白が力んで出切りに来れば(実はこれを待っている)、一子は捨て本体の形を整えます。通常切られた石が逃げられない場合はケイマはいけない と教わりましたが、教えは常にケースバイケース。 黒は’本体安定’というここでの目的を達成。それに白は直前に1手かけ補強した右上がさらに一子噛んで強くなってもあまり嬉しくない。 この図は白が挑発に乗り安物に手を出してしまったような格好です。
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<変化図4>実戦この後の手順。この碁の白は呉先生。安物では満足してくれません。”許さじ!”黒に捨てられないように根元から切断。気合いですね。ただ白も2線から当てられたのが痛く、まだ眼が完全でないなどリスクを負っています。ここから難かしい戦いになったのでした。
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1958 日本最強者決定戦 黒 木谷 実 白 呉 清源
今回はちょっと高級なテーマだと思います。
弱い黒石から しっかりと1間に飛んで補強する。堅実であり”真面目”選択です。 ただ『人生真面目なだけでなく ときにはハッタリも必要』という感じのケイマでした。 碁からいろいろ学べます。
コメント
02月27日
22:23
1: だーめー
私だとすぐJ-15飛びそうです(へなちょこなので)
問題になりそうもないので、D-18に付けとかでしょうか^^;
回答楽しみです((+_+))
02月27日
22:29
2: にのまえ
R-8とかでしょうか?
攻められる前に攻める?
02月27日
22:31
3: 心
とても勉強になりました。なるほどそういう整え方もあるんですね
02月28日
22:41
4: 鈴鹿本因坊
だーめーさん 私もJ-15しか浮かばないです。 お互い引き出しを増やしましょう。
にのまえさん 戦線拡大ですか それは凄い^^。 ただ黒は戦闘的な配石になってないんですね。怪力の木谷先生(黒)が自重したくらいですから。
心さん
私も感心しました。 こういう打ち方もあるんだ と。
03月25日
22:39
5: くに丸
この次の一手、一見飛びは上手くいかないからケイマに受けて捨石にする、ということを覚えていました。
何かの棋書に書いてあったのかもしれません。なかなか使える筋なのですね。
03月25日
23:12
6: 鈴鹿本因坊
くに丸さん そういう発想がないと打てない手ですよね。 どうしても固定観念にとらわれてしまいますが。