平塚寅彦さんの日記

(Web全体に公開)

2012年
03月29日
17:52

張棋聖の棋譜より(2)


張棋聖の棋譜に対する感想の(2)です。
白 棋聖 張栩
黒 九段 片岡聡
2007年6月28日 日本棋院 第55期王座戦本戦・準決勝
《感想》
<黒51>白が白50と飛んで逃げるのを追いかけて、自陣を強化する手。白の石が多い方が1間で、右が2間と理に叶っているようだ。
<白56>白52と当てられた時、継ぐのではなく白56と当て返したのは味がある。白52を取られてもこれは眼形に殆ど影響が無い石で、白56と打って本体を補強する。
<黒59>狭い所だけど、白地を荒らすために止むを得ない。

<白60、白62、黒63>下辺の黒を辺に圧迫して、左の白群と右の白群とをつなげようと言う趣旨。黒も下辺に眼形を作りたいので従った。その代わり、黒59を出発点として白地を荒らす事を狙っている。

<白64>割り込んだ黒59を圧迫する。この大場よりも、1眼しかない下辺左の白群を補強する方が急場のような気がするが。張棋聖は、1眼あって中央へ頭を出しているのでこの白群は、現段階では安全群と考えたのだろう。右隅の白群と繋がる可能性も大きい。
  
<黒65>白64の圧迫への対応を保留し、下辺中央の補強を目指した。「大場よりも急場」と言う考えだろう。また、この手で、右下隅へ向かう手もあったが、白の強固な場所なので、ここへ打っても後手になる。白76まで、黒が先手を取って下辺を補強し右辺の大場黒77へ向かうことが出来た。
曲がり一間飛び(?)の両方の隙間を覗く手。

<白66以下>2箇所の覗きに対してちゃんと対応策を考えていた。左下中央の根無し黒群を白66で圧迫し、黒67と受けさせた。
<黒69>自分の根拠を作りながら相手の根拠を奪う手。ここは両先手。
<黒71>形は良くないが自陣を固め、白72、白74を催促する手。

<黒77>やっとこの大場に手がついた。しかし、1間飛びではとても地は望めないので、コスんで中央に頭を出す手も考えられる。一方、右隅の白が星と一間飛びなので、三々への飛び込みも視野に入れているのだろう。
<白78>右辺の黒を直接圧迫せずに、自陣を固めることで、圧迫しようと言う勉強になる手。
<白82>まだ生きていない左の大きな白群と眼形豊富な右白群とをつなぎ、左群を安定させようと目論む重要な一手。

<黒83>下の方の黒2群が安定してきたので、右辺上部の白群を攻めるため。下の白が強いので、堅くこすんだ。
<白84>右上隅の黒地を荒らすため、また、右辺上部の白群を間接的に補強するため。
<黒85>白84と右辺上部白群とを分断するため。

<白86>下の黒群を攻める。
<黒89>黒83,87の断点を補強するため、また、黒75への連絡を見越して、下の白2群の分断を伺っている。
<白90>左右の白群の分断を防ぎ(完全ではないが)下辺の黒を圧迫する。
<黒91>割打ちされた白84と右辺白群との連絡を絶つため。

<白92>右辺の白群との連絡を絶たれたので、右上隅の黒地を荒らす。
<黒93から白100まで>白は僅かながら地が出来、黒も6目程度の地が見込める妥当な分れ。

(;GM[1]FF[1]SZ[19]NE[B]SS[@@]AP[StoneLeaf2];B[qd];W[pp];B[dd];W[cp];B[kc];W[qf];B[od];W[qi];B[fq];W[cf];B[cq];W[fc];B[df];W[dg];B[ef];W[cc];B[ce];W[dc];B[cg];W[dq];B[dp];W[cr];B[bq];W[ep];B[do];W[eq];B[br];W[dm];B[en];W[gq];B[em];W[cj];B[ch];W[bn];B[bo];W[cm];B[ek];W[bi];B[iq];W[co];B[bp];W[cn];B[dr];W[er];B[cs];W[go];B[nq];W[pn];B[gm];W[io];B[kq];W[ej];B[fj];W[dk];B[ei];W[el];B[fk];W[ic];B[qk];W[np];B[mp];W[mo];B[lp];W[pj];B[hp];W[eo];B[dn];W[gp];B[hr];W[gr];B[ip];W[gn];B[fm];W[im];B[jn];W[in];B[qm];W[nn];B[ol];W[oq];B[nr];W[kn];B[nk];W[mc];B[of];W[nj];B[mj];W[ni];B[kl];W[lo];B[ld];W[pc];B[oc];W[ob];B[qc];W[pd];B[pe];W[pb];B[qe];W[qb]ID[1])
ぃーね!
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