平塚寅彦さんの日記

(Web全体に公開)

2012年
04月24日
19:42

院生対局(板倉・飛田)(1)


院生研修Cクラス(10月期)
白 板倉健太(Cクラス20位)
黒 飛田早紀(Cクラス19位)
(コミ 6目半)
「囲碁」2008年1月p56

【白4】ここまですべて隅は小目。珍しい。更に、盤面の右側が同じ形で、左側は、90度ずれている。小目と星の混合が最近多いような気がする。これから、隅の第1着の種類を、調べてみたい。時代と共に変遷しているのか、個人で好みがあるのか。段位で違うのか?

【黒21】左下隅の黒群は1眼も持たない。そして、隣の白群は両方とも地を作るスペースを持っている。だから、この手では中央に勢力を作り隣の白群を圧迫する手を打たなくてはならなかった。最後には、この左下隅の黒群は討ち死にしてしまい、勝負が決着してしまった。黒21で勝負が決したといっても過言ではない気がする。この手で白8の一間左で白を圧迫するなど。

【白22】これで下辺左の白群は全く収まった。
【黒23】左辺下の白群を圧迫はしたが、これで白群を強化し左下隅の黒群を包囲することに手助けをすることになった。黒は、左下隅の黒群を、包囲されても生きる自信があったのだろう。結果は失敗して頓死したが。

【黒25】左下隅の黒軍を助けようとすると、隣り合った白群を強固にすることになるので、当面他の局面で地を得ようとした。しかし、これでは左下隅の援護にはならない。右辺中央部に勢力を張って、これから中央部へ進出し、左下隅の黒群とつなげて助けることを考えるべきだったのではないか?左上隅では、余りにも遠い。間に白群がいるので、つなげるのはほぼ絶望だ。

【白38】小生なら、この手は、地を大きく取ることが出来更に隣の黒群の地を脅かすことが出来る、白34の右に打ちたいところ。が、白38は眼形が豊富で、この1手でこの白群がほぼ2眼を獲得出来た感じがする。他の大場へ回ろうとする考えだったろう。また、白30の上の断点に対する補強の役目も出来そう。事実、黒はこの断点を切らなかった。この考え方は、今後の参考にしたい。

【黒39】白は折角7目も掛けて隅に陣を張ったが、黒27のお陰で、勢力を作ることが出来なかった。一方、黒は、黒39のお陰で大きな勢力を作ることGで来た。白は、黒27を攻めなければ採算が合わない。

【白40】右上隅の白群の壁を生かして黒27を攻める。3線に低いのは、黒の左上隅が4線と高いのを見越したのだろうか?そして、黒はこの白40で上辺には地が見込めないので、中央へ進出せざるを得ない。このように黒の2子を中央に追い出して、地を獲得しようとしたのだろう?

【黒45】解説でも述べてるが、この手は左下隅の黒群から遠い。この黒軍を助ける手とはなっていない。左辺中央の白群を補強することを促した、サッカーのオウンゴールのような手だ。布石の終盤の、敗着と言えるだろう。この手は、白6の右となりで、左辺の白群を圧迫しつつ、黒群の眼形を作るべきだった。

【白46】この手が打てて、白は眼形のスペースが出来万歳。そして、左下隅の黒群を攻める根拠がほぼ固まった。左下隅の黒群は全部で8子だが殆ど眼形スペースなし。一方、左辺下部の白群は、4子で眼形スペース十分。この違いを見て、第3象限では、白の方が成功したと言える。こういう風に一つの象限全体で圧倒すれば、それ以外の象限で多少頑張っても、その後の帰趨は決まってしまう。
数学では、盤面の右上4分の1を第1象限、これから反時計回りに2,3,4と象限を定義する。
<出典>ウィキペディア「直交座標系」

【黒47】これは、一路左、白48の点へ打つべきだったろう。黒41,27との連携を重視したのだろうが、黒25との間に隙間が出来て、白から白48と其処を割り込まれてしまった。黒41,27の2子は、右上黒群との繋がりを追及すべきだったろう。
もっと重要なこと。黒は、左下隅のことを全く忘れ去ったようである。自陣の弱点を忘れて、自分の強い所の地を稼ごうとするのは、「欲張り」戦略と言えるだろう。万丈を建物に例えれば、細くて今にも倒れそうな柱の子とは放置しておいて、大きな柱を更に太くしようと努め、その結果、細い柱が壊れて建物全体が崩れ去ってしまう、そういった情景である。
小生もこの間、同じ第3象限の自群が根無し草であることを忘れ去ってしまい、気付いた時には相手から包囲されてしまっていた。他の所で夢中になって闘っていると、自分の弱いところを忘れてしまうことが良くある。第3象限は、目に付きにくい、という特徴があるかもしれない。これからは、中盤以降で形勢判断を行う時には、特に第3象限に着目した方が良いだろう。更にいうと、第3象限では、他の所よりも早く、2眼を作って安定させた方が、失敗を減らせるかもしれない。

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