前回の日記からおよそ1ヶ月が空いてしまいました。週一回は更新するつもりでいたのですが、まとまった文章を書く時間が取れませんでした。
前回
http://goxi.jp/diary/198334 の続きです。
(3)コウの絶対計算
前回は絶対計算の考え方について要約を試みました。しかし省みるに、どうやら説明をかえって煩雑にしてしまいました。メイエンさんの著書の内容をダイジェストにしよう、と、最初に広げた風呂敷が大きすぎたようです。
今回は盤面の図示中心にして、文章での説明は極力減らそうと思います。
ではさっそく、コウにまつわる絶対計算の考え方を整理します。
問題を単純化するために、初めは半コウを例に取ります。
まず、[A]から[D]の図をご覧ください。
[A]
★●○┬
●○○○
●●●○
├┼●○ アゲハマ ●0○0
[B]
┌●○┬
●○○○
●●●○
├┼●○ アゲハマ ●0○0
[C]
○┬○┬
●○○○
●●●○
├┼●○ アゲハマ ●1○0
[D]
○☆○┬
●○○○
●●●○
├┼●○ アゲハマ ●1○0
[A]は半コウを黒がツイだ図。[D]は半コウを白がツイだ図です。アゲハマの数を考慮すると[A]は0目、[D]は白地1目となり、両者は1目差です。そして、半コウは[A]から[D]までの図を、1手ずつの着手で相互に移行します。ただし[A]と[D]はコウを打ち切っていますから、それぞれが終点になりますね。
そして絶対計算では、[B]や[C]という中途半端な局面の地の大きさを決めることができます。この場合は終点である[A]と[D]の間を手数で等分することで、間の局面の地の大きさを決定します。[A]と[D]の間には3手分の距離がありますので、全体の目数差を3で割ってこのコウにおける1手の価値を1/3目と計算することができます。また、1手かけることで1/3目ずつ地の大きさが変わるので、[B]は白地1/3目、[C]は白地2/3目となります。
このように、通常の後手ヨセは2手セットですが、コウは3手セットになるのです。
では、二段コウの場合はどうでしょうか。
[E]
┌●┬●○┬
●┼┼●○┼
├●★●○┼
●●●●○┼
○○○○○┼
├┼┼┼┼┼ アゲハマ●0○4
[F]
┌●○●○┬
●○○●○┼
├●┼●○┼
●●●●○┼
○○○○○┼
├┼┼┼┼┼ アゲハマ●0○1
[G]
○┬○●○┬
●○○●○┼
├●┼●○┼
●●●●○┼
○○○○○┼
├┼┼┼┼┼ アゲハマ●0○0
[H]
○┬○●○┬
├○○●○┼
○●┼●○┼
●●●●○┼
○○○○○┼
├┼┼┼┼┼ アゲハマ●1○0
[I]
○┬○┬○┬
├○○┼○┼
○┼☆┼○┼
├┼┼┼○┼
○○○○○┼
├┼┼┼┼┼ アゲハマ●9○0
[E]は二段コウを黒が解消した図、[I]は二段コウを白が解消した図です。アゲハマの数を考慮すると[A]は黒地9目、[D]は白地19目となり、両者は28目差です。そして二段コウは[E]から[I]までの図を、1手ずつの着手で相互に移行します。ただし[E]と[I]はコウを打ち切っていますから、それぞれが終点になります。
[E]と[I]の間には4手分の距離がありますので、全体の目数差を4で割って、このコウにおける1手の価値を7目と計算することができます。また、1手かけることで7目ずつ地の大きさが変わるので、[F]は黒地2目、[G]は白地5目、[H]は白地12目となります。
このように、通常のコウは3手セットですが、二段コウは4手セットになるのです。
どうでしょう。分かりやすかったでしょうか?(^_^;)
さていよいよ次回は、絶対計算におけるヨセコウの秘密に迫っていきます。