http://goxi.jp/diary/200983 で利根川の杭さんが扱っておられたヨセの研究が興味深いテーマでしたので、計算して一般化を試みました。初めはコメントとしてつけようと思っていたのですが、あまりにも長くなったので自分の日記として記述することにしました(笑)。
┼○○●●……●●┼
┼○┼○○……○●┼
┼○○●●……●●┼
___┗━n個┛
上図における黒地の期待値(=黒がn個の白石を抜くヨセの大きさの半分)をE_nと定義すると、数列E_n(n≧3)において以下の3項間漸化式が成り立ちます。
E_n - E_(n-1) = 1 + (E_(n-2) - 1) / 2^n
初期条件が
E_1 = 1/3
E_2 = 1
であることから、n=3以降のE_nの値は以下のように計算されます。
E_3 = 1+11/12
E_4 = 2+11/12
E_5 = 3+121/128
E_6 = 4+749/768
……
これを2倍すれば後手ヨセとしての大きさが得られます。
n=1 2/3目
n=2 2目
n=3 3+5/6目
n=4 5+5/6目
n=5 7+57/64目
n=6 9+365/384目
……
ヨセの大きさはほぼ2目ずつ増加しますが、ちなみにずっと2(n-1)目を下回り続けるわけではなく、n=9からは2(n-1)目を超えます。
実戦では「n≧3では、白石を抜く手は2(n-1)目よりわずかに小さい」と覚えておけば十分と思いますが、計算上は3項間漸化式で一般化が可能であるという面白い結果が得られました。なお計算の詳細は省略しましたが、それなりに煩雑でした(^-^;)。
コメント
09月02日
14:48
1: くに丸
http://goxi.jp/diary/49618
大昔、こんな日記がありました。
09月02日
14:54
2: やたぞう
>くに丸さん
情報をいただきありがとうございます(*´∇`)
ぴかぐりさんの日記は、以前ヨセコウの一手の価値について検索したときに拝見したことがあります。ぴかぐりさんは数学を教えていらっしゃる方だったんですね。
09月02日
16:56
3: 冷歌
初めまして! 囲碁クエストで一度お会いしているかもしれません(>_<)
n≧3のとき、黒が抜いて、白が抜いて、白が出たところで黒からの抑えが先手になるので分母はそこまで大きくならないのではないでしょうか
09月02日
17:11
4: わたがし
初コメントになりますが失礼します。
具体的に計算ができているわけではありませんが、このヨセはn=5以降も純粋に2目ずつ増加していると記憶していました。
例えば白1の手は後手2目も無いですが、黒が2と打った瞬間次に後手2目の手が生じているので実践的には白3が打たれるはずです。あとはnがいくつ伸びても同じだと思います。
(;GM[1]FF[1]SZ[19]NE[W]SS[@3]AP[StoneLeaf2]AB[hg][fi][gi][hi][ii][ji][ki][kh][kg][jg][ig][gg][fg]AW[eg][fh][ei][di][dh][dg];W[gh];B[hh];W[eh])
09月02日
18:03
5: やたぞう
>冷歌さん
初めまして、コメントありがとうございます。囲碁クエストは大砂嵐関のカチ上げよろしく、同じ型に集中して奮闘中です(笑)。
さて、おっしゃる通り途中で押さえる手が大きくなりますね。漸化式を立てた時点で考えが及ばなくなっていました。ご指摘ありがとうございました(*´∇`)
09月02日
18:10
6: やたぞう
>わたがしさん
コメントありがとうございます。実に明快なご説明です。おっしゃる通り、nが5以上では必ず途中でオサエが先手になります。日記の説明では、着手の可能性は常に五分五分であると仮定していました。前提を欠いて議論してはいけませんでしたね。汗顔の至りです(^_^;)。
09月02日
19:44
7: 利根川の杭
やたぞうさん、私の日記の紹介ありがとうございます。
私は数学に弱くて内容をよく理解できないのですがおっしゃることはなんとなくわかります。
私も黒がn子抜いた後の白取り返しからデに対する黒オサエが先手にならず、白デと黒オサエの可能性が常に五分五分だと思っていました。
そうした場合の折半計算の繰り返しはとてもできないと諦め、正確でない(間違い)と知りつつ自分の日記の方法で目数を出してみました。
やたぞうさんの3項間漸化式は折半計算の繰り返しを公式化したものとは違うようですがそれに近いものかなと勝手に理解しています。
今日の勤め帰りの電車の中でわたがしさんがコメント4でおっしゃっていることと同様のことに気が付きました。
自分の日記を訂正します。
09月03日
02:00
8: やたぞう
> 利根川の杭さん
こちらこそありがとうございます。面白いテーマだったので勢いで考えてしまいました。
私は絶対計算をベースに考えていますが、折半計算と結局やっていることは一緒です。実戦では「出入りの大きい順にヨセを打つ」ことが必ずしも正しくなかったり難しいことが多いのですが、模式的に考えるのは一つの楽しみですね。