張棋聖の棋譜より(5)出典:「囲碁」2008年1月p105
第55期王座戦本戦・準決勝 2007年6月28日 日本棋院
白:張 栩 棋聖
黒:片岡 聡 九段
201手-287手
終盤に入ると着手の優先順位は、感覚よりも計算で決まるようになります。小生はヨセの計算の仕方が殆ど分らないので、今から勉強したいと思っています。
【黒201】白200で中央の地を囲われたので、中央上部の白地を荒らす方へ向かった。
【白202】白地を囲う手。
【白204】※この手では白150を救うことは出来ず、また、黒3子を取ることもできない。そして、白地の増加にも役に立たない。着手の目的が分らない。
【黒205】黒75を救い、白142を取る覗きとなっている。又、右下隅からの白群と中央、左下辺白群とを切断を覗いている。
左下辺の白群はまだ1眼が確定されているのみ。但し、中央の白群とほぼ繋がっている。
又、右下隅の白群も確定しているのは1眼のみ。黒75の上で切断されたら、夫々眼形を確保しなければならない。一方、黒の方も右辺下の群もまだ1眼しか確定していない。勿論もう1手を加えれば直ぐにもう一眼できる。
※プロの碁は、このように、1ないし2群は綱渡りで生きる戦術を取っているのだろうか? これから多くの棋譜を勉強すれば分るようになるだろう。
【白206】黒205で左右上下の切断が脅かされたので、左と上とを繋ぐ為に打った。これで下辺左の白群は治まった。残るは右下隅群のみ。
【黒207】白204を切り取った。
【白212】上辺黒がまだ収まっていないので、攻めた。(先手)
【黒213】上辺黒に眼形を作る代わりに右辺の黒群と接続した。2眼を作るためには自陣に石を打たなくてはならず、其の分地が減るから。裏返すと、白が黒213の所へ先に打ったら、黒は2眼を作るために地を減らされる。
【白216】黒の断点を覗く。一路上に伸びると、左の黒3子が取られてしまう。三子の並びはどうも弱い。並べるなら4子以上にしたい。
【黒219】左右の白群を分断した。盤面の右下4分の一で、2眼のスペースは持っているがまだ2眼が出来ていない白群と黒群との争いになった。白も黒も、生きる見通しがあったのだろう。このような怖いことは小生なら出来ない。プロ高段者だから出来ることだろう。
【白220】白は、右下の大石の生きを見切ったのだろう。白の形も多少傷があるので、固めた。
【黒221】白の弱みを突いた。
【白224】白60の右に打ちたいが、黒が白90の上に打つと、白3子が取られてしまう。そこで、この白224となった。
【黒231】黒の1眼を作り、これでこの黒群は生きることが出来た。
【白234】白群の中央部に1眼が見込めなくなったので、隅に2眼を作る手。
【白238】後手3手。(逆ヨセ)
【黒239】先手1目。(片先手・生死に関わるので優先度は高い)
【黒241】後手2目。(両後手)
【白242】後手2目。(片先手)
【黒243】後手2目。(片先手)
【白244】先手2目。(片先手)
【黒245】後手2目。(両後手)
【白246】先手2目。(両先手)
【黒247】後手2目。(両後手)
【白248】後手1目。(両後手)
【黒249】後手1目?(両後手)
【白250】先手1目。(片先手)
【黒251】後手半目。(?)
【白252】後手1目。(両後手)
【黒253】後手2目。(両後手)
【白254】後手2目。(両後手)
【黒255】先手1目。(両先手)
【白256】先手?目。(片先手)
【黒257】後手4目?(両後手)
【白258】後手1目。(両後手)黒の欠け目を作った。
【黒259】後手半目。(コウを埋めた)黒は追い落としを防いだ。
【白260】先手1目。
【黒261】後手1?目。この手は2箇所のコウに繋がるので大きい。
【白262】手筋?
【黒263】必須。
【白264】先手?目。
【黒265】白262を先に取る手よりも、この黒265の方が優先する理由が分らない。
【白268】後手2目?。明確ではないが黒地を減らしている。
※碁では、このように直ちに効果があるわけではないが、将来楽しみという投資のような手が多い。
【黒269】後手1目。
【白270】後手1目。
【黒271】後手1目。
【白272】後手1目。
【黒273】後手1目。
【白274】後手3目?
【黒275】先手?目。
【白276】後手(接続確定)
【黒277】後手半目。
【白278】後手1目。
【黒279】コウ
【白280】コウ接ぐ。
【黒281】コウ接ぐ。
【白282】コウ接ぐ。
【黒283】先手1目。
【白284】コウ接ぐ。
【黒285】コウ取る。
【白286】つなぐ。
【黒287】コウ接ぐ。
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