プロ棋士の棋譜の感想文を書くことは、結構面白いものだと分りましたので、今後当分続けていこうと思います。大分勉強になります。
第33期天元戦本戦2回戦 1-50手 2007年3月29日 日本棋院
白 七段 井山裕太
黒 九段 王 立誠(コミ6目半)
《出典:「囲碁」2008年1月p100》
《感想》
【黒3】一箇所だけ星目を外したのは、どのような趣向なのだろうか?
【白6】星に対する小目掛かりを高い大ゲイマで挟むのは、どういう趣向だろうか?
【黒7】黒は白のハサミを手抜きして、星の小目掛かり。
【白8】小目掛かりに対して、小目受け。
【黒9】黒の両掛かり。
【白10】ツケ。
【黒11】ハネ。
【白12】ノビ。
【黒13】自分の根拠を作り、相手の根拠を奪う。
【白16】断点を繋いだ。
【黒17】中央へ頭を出し、白6を圧迫した。
【白18】黒9を圧迫した。黒15の上に断点があるので其の補強も兼ねている。断点がなければ、もっと大きく圧迫する手が打てた?上から圧迫しているので白地はあまり望めない。
【黒19】2間飛ぶと、白18から切断されるので、1間飛びとした。
【白20】白4の左の断点をはっきり補強した。
【黒21】足早に左辺を地にする手。2間、2間の開きが精一杯の手。
【白22】黒の断点を露骨に覗いた手。
【黒23】覗きに対する有効な手。白の2子の分断を目論んだ手。
【白24】今度は、黒の断点を覗いて、黒23の断点覗きに対抗した。
【黒25】黒は除きに繋ぐ代わりに、もし分断されたら、下辺の2子を攻め取ろうと言う意図を表わした。そして、白の3子を分断してしまった。これは白の失敗図だろう?
【白26】構わず分断した。
【黒27】黒11、17の2子が弱いので、応援した。
【白28】左の黒3子を攻め取った。
【黒29】黒5他の3子を捨てる代わりに、右側を勢力範囲とした。
【白30】黒の勢力に対抗するため。が、一路左の方が黒の勢力を牽制するのに都合が良いと思うが?
【黒31】黒は自分の勢力を恃んで、白30を攻める。
【白32】白は開くスペースが無いので、着ける手に出た。
【黒33】付けられたらハネる。
【白34】狭い所で生きるには、石を散らせて打つ。これで黒の勢力を破っている。
【黒35】黒3の左に這うのでは、白の思い通りになってしまう。白の薄さを咎める。黒は自らの勢力範囲なので、これ位の反発をしなければならない。
【白36】石を繋げようとする手。これで、黒4子は分断されてしまった。
【黒37】白の薄みを突いた。
【白38】白34は諦めて、地が無いので中央へ頭を出した。
【黒39】一つ上の方が地を目一杯囲えるが、それでは白34が不気味だったのだろうか?手堅い。
【白40】黒の薄みを突いて分断した。
【黒41】黒33を捨石にして、外勢を張ろうとする手。
【白42】ここでポン抜きにされると痛い。
【黒43】黒41の右に延びると、黒31がシチョウに取られてしまうので、止むを得ない。
【白44】黒の外勢を裾空きにする。
【黒45】裾空きでは、地大幅に少なくなるので、押さえた。
【白46】攻め取られるのを確実に防いだ。この手で、白はほぼ2眼を確保した。黒3と黒31に狭い所で挟まれた白30は、上手く生きることが出来たようだ?黒は、右辺の外勢を地にまとめたい。
【黒47】黒1と黒45の両方から大ゲイマの位置で、黒地をまとめたい。流石に、白はこれら3子の間には割り込めないだろう。黒45の左の断点をカバーする目的もある。
【白48】黒は、左辺、下辺、右辺、上左隅を固めている。一方、白は、上左隅、左下隅、右辺と黒に比べるとかなり地が少ない。そこで挽回するために?白8に4間も空けて目一杯地を稼ごうとした。
【黒49】黒は確実に地を稼ごうとした。そして、白の地を脅かした。
【白50】黒の地取りに対抗して、白は攻めを選んだ。
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