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22日火曜は午前京都に立ち寄ってから午後は大阪の大正駅へ。移動中、弁天駅を通過。2つ前の会社を一緒にリストラで首になったアシスタントの女性が弁天から通っているといっていたことを思い出した。
隣の席にいて、話しかけてくるときは、回転椅子をくるっと90度回して、タイトスカートの脚を組み直すもんだから目の遣場に困ったもんだ。弁天出身にふさわしい美人、いやべっぴんさんやった。
大正では重工業の地帯に用があったんだけど、潮の香などもして、いい気分転換です。取引先の人によると、元プロ野球の桑田はこの辺のご出身だとか。
仕事が済んで心斎橋へ。大正から近くて好都合だ。2Fのドアを開けると、広々とした室内。左手のカウンターに女性がお二人。あー、ネットで見た通り、美人ぞろいです。
横浜囲碁サロンのことや、ブログランキングの話をしているうちに、お二人ともシホクニの碁会所探偵に毎月1回抜かれることや、YISがもり上がっているのが気になっているということが分かった。
「シホくにさんってどんな人?」
と聞かれて、
「シホさんはパズル作家で、くにさんがライター。碁の雑誌なんかにも載せているよ。」
と答えたが、合点がいかないようで、どうも違う種類の情報を尋ねていたようだ。
「それで、みんなでハイキングしたり、温泉で碁を打ったりしてます。以前ハイキングしたときはシホくにさんは途中の温泉からの合流だったけどね。」(日記「陣屋で碁」参照
http://goxi.jp/diary/142750?comment_count=7)
というと話にのってきた。うまく話を脱線させた。
<<シホさんはハイヒールで、クニさんはブーツ派かな。二人とも歩くのが苦手なんだよ。>>なんて類のことをいきなり言ってしまうんでは人品が疑われる。おなじみの陣屋事件の話とか、そこの対局室のこととか話が一段落したので、
「今日は見学でもいいし、打ってもいいですが。」
というと、
「ではあたしと。」
「えっ?」
と驚いたふりをしてみせる。
「ここのお客さんはみんな私たちと打ちたがるんですよ。」
そりゃそうだろう。
<<きれいなおねいさんは好きですか>>
<<愚問です>>
「いいでしょう?」
「はい、お願いします。」
良いも悪いもない。ネットで見たときからの希望が叶えられるんだもんね。僕のお相手をしてくださったのがまゆみさん。僕がビールを飲みつくしたので買い出しに行ってくださったのがさとみさんだね。
まゆみさんは前髪をアップにしていてなんだか福を呼び込みそうな気がしてくる。そういえば、弁天は、
「あたし顔が福々しいんで、福娘に応募したら、と寺田町のおばちゃんに言われたことがあるんよ。」
と言っていた。確かにいつもにこやかにしていた。
弁天とH山はいっしょにリストラになって退社することになった。
いよいよ今日が最後という霜月の晦日、
「僕ちゃん、あたし私物があるので駅まで送ってね。」
と言われて、ワイン城の側の駐車場から車を廻した。
玄関脇で待っている弁天は、昼休みなどではタバコを吸っているのに、今日は車が近づくと、口からガムを吐き出した。ハッチバックのトランクがあるが、たいした荷物でもなさそうなので後ろのベンチ席に置かせた。弁天が助手席に乗り込んだので、サイドブレーキを降そうとすると、左肩を掴まれた。何?という間もなく左の頬に唇の温度が伝わってきた。
いやあ、自分ほど間抜けな男はいない。そうとわかっていれば正面から受け止めていたのに。でも、そんなことは今だから思えるので、「今のはリーハーサルだよね。」などといえるような心理状況ではなかった。
西神中央駅のロータリーは駐車できない。エンジンを切らないから、次の行動はわかっているはずだ。弁天はずっと無言で、前を見たままだった。
<<これから厳しい日々になるけど、お互いにがんばろう。いつかまた逢おうね。>>
心のなかで思ったが、言葉にならなかった。弁天は降りてドアを閉めるときだけ、
「僕ちゃん、さよなら。」
といって目を合わせた。固い表情だった。福娘なのに。
まゆみさんは席亭をやっておられるだけあって礼儀正しい。一度もオミアシを組んだりしない。終局すると、奥の方で自習していた青年、よっしーさんを呼んでくれて、一局。
終わると8時が過ぎていた。僕は今日は一人で食事なのか。帰りたくない。やだよー。明日は富田林の方に行くというと、えらい田舎のほうじゃないの?PLのところね、とさとみさんとまゆみさんが顔を見合わせる。大阪のひとはPLがどうもいろいろな基準に入ってくるようだ。
「清原は岸和田の方だよね」
などと言っている。
道頓堀の方角を聞いて外に出た。夕方は気づかなかったがブランドの店が連なっていて壮観だ。かといって、御堂筋を左にはいると、延々と飲食店が連なっている。ミナミゆうのんもりっぱなもんやないけ。新宿と表参道がくっついたのといっしょちゃいますか。
道頓堀は一度だけ行ったことがある。真夏の蒸暑い頃のまだ明るい夕刻、アメリカからのビジターをつれて、弁天と3人だった。ビジターがちょっと先にいったとき、弁天に左手を握られた。というより掴まれたというほうか。薬指と中指だけ握られたので、振りほどこうにも痛いのがわかるのでできない。合気道の技などはこういうものかもしれない。
道頓堀に行くのがつらくなってきた。今僕はひとりぼっち。とりあえずホテルに荷を置いて、目の前の小料理店に入った。カウンター席から板さんと雑談ができた。トイレにチラシがあって、近所のバーを紹介している。板さんによれば、元は一流ホテルのバーにおられた人が開いている店だそうだ。
Pyramidというそのバーは八幡筋にあって、通りから窺うと若者がアコーディオンを奥の方で弾いている。他にはバーテンダーと初老の客のみ。これはいい、流しなら一曲頼もうか、と入っていったのはいいけれど、僕を見るなり演奏をやめて、カウンターの一番右にいた初老さんの脇に座って話し込み始めた。
なんだか怪しい。改めて青年をみると、顔だちもよく、髪が自然にちぢれていて、「赤と黒」のジュリアン・ソレルが日本人だったらこんな感じじゃないかと思えてきた。バーテンダーもそこに加わって、ときどきカウンター中央やや左側に席を定めた僕の方を心配そうに見ている。このバーはメニューが置いてあるので、相談しながら決める、などという手間は要らないわけだ。
シンガポールスリングなどを飲んでいると、だんだん酔いが廻ってきてみんなと話ができた。アコーディオンの若者は秦コータローさんといって、まだ学生だが、デビューするのだとか。それで、このバーで演奏会を開く算段をお父様を交えて相談していたわけ。リハーサルもかねて1-2曲弾いてもらった。
水曜朝、河南に行って、帰りに富田林駅にタクシーで向かうと、行くときには気付かなかった巨大な純白の塔が見えた。運転手に聞くと、PLの祈りの塔なんだと。なるほど、姉妹が頷きあっていたのがこれでわかった。それにしても、何の前触れもないように建っているこの塔に匹敵するインパクトがあるのは牛久の観音くらいしか思い浮かばない。
新横浜からいったん家に帰って、ちょっと迷ったが碁会所へ。ビールを飲んでいると、船の人が入ってきた。F森さんがお久しぶりと言っている。早速一局。
「いつ上陸したんですか?」
「二日前です。上陸でなく、下船ですが。」
なるほど。手練れの航海士は言うことが違う。中国語の先生が、
「黄色い線の内側を歩いてください、というアナウンスは中国語では通じないです。自分がいる側が内側だから。」
と言っていた。物事を記述するのには基準点が必要だというのをこの二日間で学習したように思える。
かどっちがやってきて、やはり、お久しぶり、と船の人にご挨拶。夜中におなかがすいたので、かどっちと先生とでラーメン屋へ。でもかどっちは水割りだけ頼んだ。あいかわらず予測不能だ(2012、9・28の日記参照)。小熊さんがあとから合流してくれた。付き合いのいい人は好きだ。
参考;まゆみさんの日記
http://ameblo.jp/igosalonshinsaibashi/entry-11454858637.h...
コメント
01月26日
23:13
1: シホ
今日の日記も名作ですね。
弁天美人のくだりに、
グッときました。
01月26日
23:24
2: 横浜囲碁BOYS
途中クスクス笑いながら楽しく読ませて頂きました^^
達人技でした。F森
01月26日
23:29
3: はずれやま
そう、自分で読み返しても泣けてくる。
此の日記の主役は弁天美人だね。
01月28日
00:25
4: マミー
先日はありがとうごいました(*´▽`*)H山さん目線ではそのように映ってたんだなぁ~と思い出しながら読ませていただきました♪次回来られる時はご連絡下さいね。タイトスカートを用意しとかなくっちゃ♪
01月28日
01:30
5: はずれやま
キャー嬉しい。まみーさんじゃないですか。
また機会を見つけてお邪魔します。
弁天さんの面影を追って、、、