店の構えは立派で、四連の引戸に濃紺の大振りの三連の暖簾が掛かっているのは居酒屋らしくもない。
後で親爺から聞いたんだけど、元は酒と醤油の店で奥は旅館だったそうだ。道理でいい食材を使って旨いものを出すわけだ。構えがりっぱなのもうなずける。80人入れるそうだ。
以前とはいっても、71才の親爺さんの記憶はあやふやで、奥の厨房から出てきたおかみさんによると、昭和20年7月28日の空襲に遭い、それで旅館を廃業したとのこと。
後で地酒を頼むと「八兵衛」の辛口を出してくれたが、親戚の造り酒屋だそうです。
白木のカウンターは清々しく、目黒の豚カツ屋、「とんき」を思い起こすが、席の間隔は大分ひろい。他にテーブル席、小上がりなどもある。これまた居酒屋らしくもない開放感を得る。
カウンターには中央に三人のグループと、奥に一人の客がいた。